第壱冊

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話を酒場についてと言うことに戻そう。 『昼夜』盛況しているその酒場。 そして今は時間的な昼。 真昼間から酒を飲むな、とはよく言うがそれはこの常に暗闇の街でも同じ。 真昼間から酒を飲んでいるのはろくな奴がいないという訳だ。 そんな常識観念からその酒場でも昼というのは比較的客が少ない時間でもある。 しかし例外が月に二日ほど、各月の一日と十六日。その日だけは夜にやってくる客足にも匹敵するほどの人数がこの酒場にはやってくる。 丁度今日にぶちあたるわけなのだが。 店内には屈強なオッサンからどこか鋭い顔立ちだが比較的細みの青年、まだ大人とは到底言いきれない子どもなど年齢外見はバラバラなもの達がそれぞれおり、それぞれ情報交換や賭博、仕事の依頼など思い思いのことをしている。 全くと言って統一性の無いように見えるその集団。 しかしそんな彼らにも共通点が一つある。 それは『地下炭坑での仕事についている』こと。 中にはそんな彼らに依頼を行う為にこの会に参加する者もいるが、大抵は発掘や案内人などを日常的に行っている者たちだ。 そんな彼らは一挙に集まり、思い思いの事を行い、または地下と言う未知の空間において命を失っていないことを酒の肴に酒を飲み明かす会。それがこの『穴熊の会』なるものだった
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