真治

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プルルルルルルッ プルルルルルルッ プルルルルルルッ 携帯のベルは一向に取られない プルルルルルルッ 真治は少しイラついた 「何で出ないんだよ!」 もうすでに15回目のコールだ プルルルルルルッ プルルルルルルッ もう切ろうと電源のボタンに手をかけた 正に瞬間だった 液晶の画面に 通話中 表示された文字 17回目のベルでやっと繋がった 「もしもし…。」 真治は慌てて喋る 「俺だけど、わかる? 今屋上にいるんだけどさ。」 「………。」 何も聞こえない 「もしもーし…。聞こえてる?」 何度も言う すると 「い…ま……い…く…。」 不気味な声が聞こえた 真治の背中が寒くなる 「な、なんだよ…。」 つい携帯を切ってしまった 「なんだよあの不気味な声…。」 真治の体はブルブル震え出していた 「今行くって…まさか…。でも大丈夫だ…。鍵は閉めてる。」 自分にそう言い聞かせると また別の相手にかけようとした 「次は…。」 電話帳を検索する が 「ない!」 さっきまであった電話帳の名前は全部消えていた 「なんで?」 アドレスも、番号も全部消えていた ただ1つを除いて… 「黒田里美?入れた覚えがないぞ…。」 恐る恐るかけてみた プルルルルルルッ プルルルルルルッ 「…はい。」 繋がった 「あの~。」 何も言う言葉がない 「真治さん…。もうあなたの後ろよ…。」
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