あなた

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トントントントントントントントントントントン… 1―Cの教室の前で足音は止まる カチャカチャカチャ ジャラ カチャカチャカチャ ジャラ カチャカチャカチャ ジャラ 手際よく鍵が開く 慣れた手つきのようだった カチャカチャカチャ ジャラ カチャカチャカチャ ジャラ 「今だ!」 誰か叫んだ と同時に扉を開ける ガラガラガラガラ 男達は一斉に飛び出した が…… 「誰もいない……。」 みんなは固まって動けなくなった 「確かに誰かいたよね?」 鍵を見ると全部開いていた 「開いてるって事は誰かいたんだよ…。中に入ったのかも!」 そう言ったが誰も信じなかった 確かに鍵は開いていた でも、ドアのトッテに巻き付けられた鎖は外されていなかったからだ 「消えた…。あ、赤子さんだよ…。」 文が震えながら言うと 「ヤバイよ…。殺されるよ…。」 翔太も叫び出した 「落ち着いて!まだ死んでないんだから!」 万莉菜は落ち着かせようとしていた でも、万莉菜の手は震えている 「おまえがこんな話し持ち出さなかったら今頃家でテレビ見てたんだ!」 真治は万莉菜を責めた 「ふざけんな!万莉菜は悪くないからな!お前らが勝手に着いてきただけだろ?」 智貴は万莉菜の前に立ち、さっきまでと人が変わったように言い出した 「みんなやめてよ!今は喧嘩してる場所じゃないんだから!」 佑果は大声で叫んだ そのみんなの姿を、私と真紀はただ見ているだけだった 「だから集団行動は嫌いなんだ…。」 そう真紀にポツリと呟いていた 「同感…。」 薄暗い廊下に8人の生徒 満月に照らされて、おかしくなったみたいに… そんなドラマが昔あったような… 満月の光り それは人を覚醒する 醜い心の闇を照らす 今の気持ちは 『気をつけよう 夜の校舎に消える影』 あの足音は誰?
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