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文は隠れる場所が見つからなかった 「ど、どうしよう…。」 出口のドアを開けようとしたが閉まっていた 窓も開かなかった 「隠れる場所なんてないよ…。」 ひたすらあてもなく歩く 理化室? 音楽室? 行きたくない… 家庭家室? 視聴覚室? それも嫌だ 職員室? 教室? ううん。 さっき見たので懲り懲り …… 「そうだ!」 さっきの事を思い出した (危険になったら図書室の秘密の部屋に集まろう!) これしかない! そこにいればみんな来るかもしれない! 文は歩き出した 足どりはさっきより軽い 図書室の秘密の部屋 それは、資料を置く場所 別に隠している訳じゃなくただ、本棚が動くと言うだけで秘密の様な気がするだけだ 元々は開けてあったらしいが、いつの間にか知る人だけが知る場所になってしまった 「なんで先生は赤子さんの事をあんなに知ってるの?」 少し余裕が出たのか、疑問とやらが浮かびだす 時空とか被害妄想の塊だとか… ドラマでもそんなややこしい事は言わないのに… 文は好奇心が強く いつもあれこれ仕切りたがる でも本当は臆病で泣き虫 悟られないよういつも一人になる それが裏目に出てしまった… 「誰かと一緒に居ればよかった…」 呟いてももう遅い もし誰かが近づいてきても 「一緒にいよ!」 なんて言いながら近寄る事なんて出来ない 今は『近づく者』から遠ざかるしかなかったからだ 図書室は遠い そのせいか焦り出す 月明かりは文の影を不気味に動かす その影がついてくるのでさえビクビクしてしまう 「帰りたい…」 携帯の時計は止まっている それを眺めながら 「もうそろそろ寝る時間なのに…」 9時20分で止まった時間は、永遠の狭間で動く 1秒さえ永遠なのだ… 足どりはだんだん重くなっていった
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