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「万莉菜殺されちゃった…。」
ただ俯いたまま何も考えつかない
「奈々…。いずれ死ぬんだよ?」
「…助かったかもしれないじゃん…。」
「1人だけだよ…。」
真紀の目にも涙が滲んでいた
「真紀は何で私を助けたいの?」
真紀の顔は段々と変わる
悲しい表情へと
「奈々は、いつも私をかばってくれて、いつも友達でいてくれた…」
私はハッとした
そう言えば真紀は昔鬱病にかかり、誰も信じられなくなっていた時期があったんだ
「真紀…。」
「こうやって笑ってるのも、奈々が笑った顔が可愛いよって言ってくれたからなんだよ。」
自暴自棄に陥った真紀を相手にする人は居なかった
親でさえ邪魔者扱いしていたのだ
自殺しようと何度も手首を切り付け
その度に私は真紀の手を掴んだ
2人で泣いて
2人で悩んで
2人で言い合った
馬鹿!ブス!
なんて言い合えるのは、お互いを信じてるからなんだ
「私は奈々がいたから今まで生きてきたんだ。寿命を少しだけのばしてくれた。だから、奈々には生きて欲しい…。私はとっくに死んでる人だもん。」
「何言ってんのさ!生きてこれたのは私だって一緒だよ。真紀がいたから今があるんだよ?本気で信じれるのは真紀だけだよ。」
信じれる
本当の言葉だ
「ありがとう…。でも助かるのは1人だけなんだ。」
「そんなの嘘だ!」
泣きじゃくる私を真紀は抱きしめた
「奈々。生きてね…。」
そう言うと真紀は扉の方へ向かった
「何するの?」
「私が死ねば奈々は助かるんだ…。」
「やめてよ!」
私は真紀の手を掴もうとした
すると
「あんたには生きて欲しいの!」
怒鳴りつけられた様な言い方だった
「真紀…。」
真紀は扉を開けた
目の前には、見たくない景色が広がる
一面血で染められている
まるで赤い部屋の様に
「ごめん…。」
外へ出ると真紀は扉を閉めた
「真紀! 真紀!」
開けようとしても開かない
突っ張り棒か何かをしてあるみたいだ
「真紀! 真紀~!」
声は虚しく響く
「さようなら…奈々。」
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