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「いくら無償ったってこんな劣悪な状況じゃ寝れないわよ!!いい加減にして!!」
「無償って……んじゃ、頭に用意してもられば?それこそ貸し分返すために遊郭にでも叩き売られるだろうがな。」
その瞬間、少女の顔は一気に色を失った。
「?」
顔を伏せ、小さな肩を震わせながら呟く。
「そ…それだけは止めて。」
そんなに怖がらなくても
「嫌なら我慢しか無くね?」
「う~…。」
「分かったら観念しろ。」
「…鬼」
「齋鬼っつってんだろ。」
そういうと、齋鬼は布団を敷きはじめる
「…ムカつくけどお前のために新しい布団と枕をくれてやる。超高級羽毛布団だ。…ホントは「嫁にやれ」って頭に言われてんのに…。」
気づけば少女は、いつもの調子に戻っていた。
「…当てつけがましいわね。アンタが使えば?」
そう言うと齋鬼は、
「…お前が「俺が9年使ってきた男臭い綿布団」使ってくれんならかまわんぜ。」
とニヤリ。
そしていつも使っていたかけ布団を投げつけてやる。
その瞬間、彼女はかけ布団を蹴りつけて
「やだ!絶対やだ!!」
「……だろ。」
心なしか涙目そう言うと、壁に立て掛けてあった屏風を齋鬼の布団と少女の布団の間に立て灯台の火を消した。
…………。
なんでドキドキしてんだよ俺!あほか!!
少年は煩悩を覆い隠す様に布団に潜った。
久しぶりの布団だ。何日ぶりだろ…。
少女は疲れた翼を癒す小鳥のように、丸く布団に包まれていった。
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