10人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日
「お~い朝だぞ。起きろ~。」
ん。
「屏風たたんじゃうぞ~。って寝起きどっきりかっつうの。」
少年…こと齋鬼は、ついに思いきる。
(このままじゃ朝会に遅れちまう!…女子の寝どこに足を踏み入れるのは気がひけるが…。)
「おい!いいかげ…」
屏風を覗いた先には
艶やかな黒髪、美しく陶磁器を思わせる白い肢体。
帯はほどけ、明らかに大きい浴衣はわずか肌けている。
そして、幼さを残した顔にうっすら桃色のくちび…じゃねえ!!
ただの覗きじゃねえか!!
「ん…なに…?」
齋鬼はとっさに後ろを向き、
「お…朝飯…帰ってきたら作るから。」
「…ん。」
小さい返事をした少女はやはり瞼を閉じ、眠りにつこうとする。
それだけ出来事。
のはずだった。
今まで女子とまともに関わった事なかった齋鬼にとっては人生に置ける一つの大きな゛事件゛であった。
朝会が始まる広間に向かって走りながら少年は思う。
(これから…毎朝こんな感じか?)
期待と不安が入り雑じったため息を吐き赤面の少年は 朝会にギリギリ滑り込もうとするのであった。
空は清々しく青く、雲はうっすら線を帯びている。
そんな1月の朝の出来事だった。
最初のコメントを投稿しよう!