三 家出

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この屋敷は、庭から出口の門へと繋がっているため、玄関ではなく勝手口から出る事の方が多い。 庭から小さい道を通って玄関前にくる。 「齋鬼~、これやこれ。」 と頭から紫の風呂敷に包まれた大き目の包みを渡される 「何ですか?これ、」 「ん~、お年玉や」 「お年玉!?」 「衆頭は兄弟みたいなもんやし、その部下はみんな子供みたいなもんやからな~、大元町である梅花町が毎年各町の状況に応じて割り当てるんや。まぁ、みんな正月は忙しいからほとぼりが冷める中旬くらいにいつも配るんや、」 「へ~・・・」 「と言うわけでほい、」 小さく梅が描かれたポチ袋が渡される 「あ、えと、嬉しいんですけど、皆より先に貰ったら、」 「皆、昨日の夜にもらうとるで」 ・・・昨日と言えばいきなり少女を押し付けられてなんやかんやで貰えなかったわけだな、って、えっ!? 「昨日の夜って!?」 「昨日の夜、毎年恒例お疲れさん会やっての~、」 「聞いてません!!」 「お前にはお嬢ちゃんの世話に専念してほしかったんや!!」 なああぁぁ、 「もちろん、貰うのも最後ということで余分に余った分も少しだけおまけしてあるんや、」 そっと耳元で囁かれる が 毎年、頭の気分によってお年玉の値段が変わるため実際どうだか、 「ちょっと」 急に後ろから聞こえる声 「例の話は」 「おう!もちろんわかっとるで」 そしてポンっと肩に手を置かれ 「っちゅうわけで、お嬢ちゃんを六つの町のどこかに引き取ってもらえるように頼んできて欲しいんやけど」 「はあぁ!?ちょっ、は?」 「嬢ちゃんがどうしてもここの町にいたくない言うんや、」 少し仕方なさそうな顔をして頭は腕を組む
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