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「…梅嫌いか?」
あの綺麗な部屋じゃない。紅い格子もないし、怪しげな灯台もない。
あるのは、ちゃぶ台と……おかゆ?
小さい器に入った粥。粥と器が白いせいか、真ん中の梅が濃く見える。
「大したもんなかったし、いきなりジャンクにガッツリはキツイだろ。」
「お嬢ちゃん。食べとき?顔色悪いで?」
さっきのいつきと呼ばれた男と私を誘拐したやさ男。
「…梅とっとくか?」
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
(私、倒れてから…どうだったっけ?)
「お~い」
「な!?」
急に顔を近づけてきた男を押す
「…突き飛ばすこたねぇだろ。」
「うるさい!急に顔近づけないで変態!!」
「へん…!…まぁ、いい。はよ食え。」
差し出された白いお粥
「…いらない」
グ~
「…食えよ。」
「いらないのはいらないの!!」
少女はそう言って粥が入った器を持ってなげようとした時
腕を捕んだのは、少女を担いできたやさ男。
「嬢ちゃん、食う食わんはともかく人の優しさをこうも駄々くさにかえしちゃ、どうかと思うで。」
「うっ…うるさい!どうせ恩を着せて何かするつもりなんでしょ!!」
「売るつもりなら、ハナから売ってるっつうの。」
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