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相手を呼ぶために電話してきたのなら無言で切ってしまうのはおかしい。 「てんちょ、いくら私の電話番号を知ってるからって悪戯するなんて」 「人聞きの悪い言い方をするな。ほれ、履歴みて見ろよ」 店長は携帯を開いて発信履歴を見せつけて来た。 16日、20日と続いて、最後に映っているのは、 「21日、9時15分……羽山」 店長はあまり頻繁に電話を使わないタイプらしい。発信履歴は16日以前は先月のものになっている。 「本当っすね、どういうことでしょ」 「……間違えてかけて消したのかも、なら悪い」 「……」 「宇佐美? どうした?」 考え込んでいたら不信に思ったのか顔を覗きこんできた。いきなり髭面が近くにあって思わず声が出た。 「おっわ」 「あ……いえ。気にしないでください、仕事しましょうよ、てんちょ」 「なっ! お前がっ……あー、もう!」 恨めしげにこちらを睨めつた後、ズカズカとバックルームへ入っていく。店長の間違いなら問題ない。しかし、どこか引っかかる。この、もやっとした違和感がのこる感覚、以前どこかで。 「すいません」 再び考えこんでいると、声をかけられた。お客さんのようだ。思考を中断し、対応する。 微かな違和感は残るが、それもどうでもいいことだ。
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