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兄さんは死んでしまったんだ。
これが一週間、眠ってしまった兄の体を抱きしめ続けてたどり着いた結果だった。
呼吸? している。
脈? ちゃんと鼓動は打っている。
じゃあ意識は?ーーー
最初の三日間は、きっと兄さんは疲れて眠ってしまったのだと自分に言い聞かせて兄の体を抱きしめ、一日中側にいた。
いつでも…兄さんが起きた時に最初に見つめてくれるのが自分であるように…
四日目。上司が訪れて俺にこう告げた。
「神聖ローマは死んだ。記憶は消され、土地はそのままに新しい国家として生まれかわるのだ」と…
信じたくなかった。信じられなかったし、受け入れる気にもなれなかった。
だからその日は上司を叫び、喚き散らしながら追い返して昏々と眠り続ける兄さんを抱きしめながら泣いた。大声で泣いた。
違うよな?きっと また、あの笑顔を俺に見せてくれるんだよな?って自分を信じこませた。
これが四日目。
(編集中)
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