陸.新撰組加入

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沖田との約束がある以上、元より脱走など考えていなかった沙慈は大人しく障子戸を閉じた。 「……にしても、何者だ?あの人」 「あ~、あん人は監察の島田さんや」 誰かに答えを求める訳でもなく呟いたその言葉に、答えが返ってきた為沙慈は驚いて思い切り振り返った。 振り向いた先には今まで居なかった筈の人物。 「やほ~」 胡座をかいて暢気に手を振る、普段着姿の山崎に沙慈は疑わしげな視線を送る。 沙慈の言わんとすることを読み取ったらしい山崎が答える。 「あー、入って来たのはそこからや。わい医者まがいのこともやっとるけど、本業は監察やねん」 へらへらしながら上を指差す山崎。目でその先を追って見れば、成る程天井の板が一枚外れている。 しかし、監察と言うことは―― 「上から僕を監視してた訳ですか」 天井の穴を見ながら淡々と話す沙慈に、山崎は目を丸くした後に首を横に振った。 「見張りは島田さんの仕事やし~。わいはただ上におっただけや」 山崎の言葉に眉を寄せる沙慈。確かにこの部屋(部屋と言うより物置のようだ)は窓が無く、出入りが出来る所と言えば先程島田が立っていた障子戸と隣の部屋に繋がっているだろう襖しかない。 では、この山崎という男は本当に"ただ"上に居たのだろうか……?  
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