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「その"柊"の件は後で小僧に上手くやって貰う」
内心で沙慈の役職が決まりほっとしつつ、土方は山崎に返事をする。
「ほんなら、大丈夫やな。後は……」
「お前が前言っていた"鴉"のことか?」
「ええ。わいの予想が合ってれば、恐らく鳴海という男がそうやと……でも、あっちも忍やさかい下手に手出し出来ん」
「"柊"は長州と何か繋がりがある可能性がある。今後も目は付けといてくれよ?」
「勿論」
にっと笑ってみせる山崎だが、暫くは遠巻きに観察する位しか出来ない。
この前は沙慈との口論に気を取られ、鳴海も屋根裏の山崎に気が付かなかったが、今後はそう運良くはいかないだろう。あまり近付くべきではない。
相手に気取られず、相手が動き出した時に即時に対応出来るようにする。監察山崎の腕の見せ所である。
「ま、こっちは任せとき!……っとそろそろ煩くなりそうやから世間話はここまでに」
「あ?」
土方が眉を寄せて聞き返す間もなくさっと天井裏に戻る蝙蝠山崎。と同時に土方の障子戸が開かれる。
「「土方さん!!」」
大きい声で土方の名を呼びながら入って来たのは原田と藤堂である。二人の後ろには苦笑気味の永倉がいる。
土方はこういうことか、と頭を抱えて溜息をついた。
「さっちゃんは!?目覚めたか!?」
「ねぇ!沙慈は仲間になるんだよね!?始末されたりしないよね!?」
「テメェら同時に話し掛けんじゃねぇ!それに他人の部屋に入る時ゃ、一言声掛けやがれ!!」
縋(スガ)るように尋ねてくる二人には当然、土方の雷とげんこつが容赦なく落とされた。
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