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私は近所のペットショップにいた。最初は犬か猫を飼う予定でここに来ていたはずの私は、いつのまにか複数の饅頭が跳ねるケースに釘付けになっていた。
ゆっくり。
「ゆっくりしていってね」
「「ゆっくりしていってね!」」
私がガラスケース越しにそう言うと、その中にいたれいむ種達は一斉に私を見てそう言った。一応、私にもれいむ種まりさ種などの違いは分かる。害虫としてもペットとしてもゆっくりは有名だからだ。
「ゆっくりを飼われる予定ですか?」
「あ、いえ、最初は犬か猫の予定だったんですが……」
私が『ゆっくりプレイス』という名のゆっくりコーナーで長時間いるのに気がつかれたのか、私は店員に声をかけられてしまった。
「ゆっくりはいいですよ。犬や猫のような愛らしさはないですがコミュニケーションが取れるのでふとした言動に可愛さを感じられます」
「そうですね、ゆっくりも考えてみます」
結局私は適当な返事だけを返した後、またゆっくり達を眺め始めた。すべてのゆっくりの背中にはペット認定の証である、小さなバッジが光っている。じっとそれを見つめていると、ぱちゅりー種が私の方へ寄り、私を見つめた。
「むきゅー、おねえさんはわたしたちを買いにきたの?」
突然喋りかけられ心臓が跳ねる。他のゆっくり達は私を見ても何とも思わないようにゆっくりしていただけだったので思わず彼女を驚いて見つめ返す。そして聞かれたことを思い出してはっと焦るように返した。
「あ……いや、犬とか猫とか見に来たんだけどゆっくりもいいかなって」
「なら、わたしを買ってみないかしら?」
ぱちゅりーはさらに私を驚かせるような返事を返した。
「わたしは一応、ゆっくりの中ではゆうしゅうな方なの」
ぱちゅりー種。ーー通常種の中では貴重なゆっくり。病弱だけれど通常種の中では抜群の知力を持つ。その上でペット認定の教育もされてきたはずだから、通常の野良ぱちゅりー種より格段に頭がいいのは確かだろう。そして何より──
「あなたがいやがりそうな事はしないし、あなたがだめと言ったことはぜったいにしないわ。どうかしら?」
──漢字を使っていると思えるほどの、発音のよさ。時折難しい箇所は舌足らずなゆっくり発音だが、まだ小さなこの時点で、通常の成ゆっくりよりも高いコミュニケーション能力を持っているようだ。
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