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「……あ、こんにちは!」
「……ああ、こんにちは、偶然ですね」
スーパーでありす店員が声をかけてきた。子供椅子付きカートの椅子には、ありすが乗っていた。ありすはじっと私の方を見ている。
「どうですか?ぱちゅりーの様子は」
「上々ですよ。私に説教するくらい賢いです」
「お留守番させてるんですか?」
「え?ええ」
「いいなあ、僕のありすなんて怖くてお留守番させられませんよぉ」
怖いというのはいたずらがだろう。ありす種のしつけ難易度の高さは本を見て知ったが想像しただけで涙目だ。
「おにいさん、このじょせいはどなたかしら?」
「前にね、ぱちゅりーを買ってくれたお客さんなんだよ」
「ぱちゅりーはかわいいわよね!ありすのおすみつきよ!」
むふん、と胸?を張るありす。一見礼儀正しいように見えて可愛いが、飼いたくはない。
「きょうはほっとけーきがたべたいわ!いいでしょおにいさん!」
「ホットケーキ?でも今日は予算ギリだな……」
「ありすがたべたいっていってるの!」
「うーん……でもなあ」
ダメならダメってはっきり言いなさい!
そんな風にうちのぱちゅりーならこの店員を一喝するんだろうな。
けれどこの抜群の奴隷具合のペット関白主義が、ある意味ありす種のパートナーには合っているかもしれない。私がありすならこんなへタレ謹んでお断りする。
結局ありす店員はホットケーキミックスを籠に入れていた。
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