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「あ、そうだ、メアド教えて貰えませんか?」
「メアド、ですか?」
突然の申し出にあからさまなほど眉間に皺を寄せてしまい、それに気付いたありす店員ははっとして顔を赤くして手を横に振った。
「あ、怪しまないでください!深い意味があるわけではなくて、その、ゆ友に憧れていて」
「ゆ友?」
「ゆっくり友達、の略です」
ゆ友とは、なんというか、子持ち主婦のあれみたいな物らしい。
一緒に遊んだりゆっくりについてお互い相談したり……そんな説明をありす店員は笑ってしてくれた。
「いいですよ」
「わあ、ありがとうございます!」
ありす店員を赤外線でアドレス帳に登録した。
ありすも私のぱちゅりーに会いたいと言ってくれているし、正直嬉しかった。
「おにいさんのおともだちになったのね。わたしはありすよ、わたしともともだちになってくれるわよね!これからよろしくね」
「うん、よろしくね」
……可愛い。
ともだちになってくれるわよね!と自信満々に言うあたりにきゅんとした。
でも飼いたくはない。
「ぱちゅりーがいないのはざんねんだけど、つぎはいっしょにつれてきてね!」
「うん、連れてくるつもり」
「おねえさんははなしがはやくてたすかるわ!それにくらべて」
ちらりとありすは店員を見た。店員は馬鹿みたいにへらっと「なぁにありすー」なんて笑っていた。これはひどい。
「あ、もうすぐ6じよ!まるこがはじまっちゃうわ!」
「あ!ごめん、長居しちゃったね!」
ありすが店の時計を見て言うと店員はあわてて自らの腕時計を見た。
「番号とメアドありがとう!」
また連絡しますね!と言ってありす店員は上機嫌でカートを押して行った。
途中で籠から溢れたホットケーキミックスを落としてありすに怒られていたのが見えた。
さて、私も買い物を続けよう。今日のぱちゅりーのご飯は何にしようか……
(おにいさんうれしそうね)
(初めてゆ友ができたからね!)
(そうね、ありすにもはじめてともだちができたのね、ぱちゅりーにあうのもたのしみだわ)
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