25人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「今、心は自分の中にあると思ったかね?」
…心を読まれている?
「ハハハ、君のハートは君の中にあるさ。
しかしこれは君の心さ。
君の心は少し止まっているようだから、しばしその胸の中から借りている。」
返せよ。勝手に使うんじゃねぇよ。
「大丈夫大丈夫、悪いようにはしないさ。
この心、こっちに取り出してはいるが精神とは繋がっている。」
男がオレに近付いてきて、でこを指さしていった。
「ただ、お前は自分が自分であることを気にしすぎて、自分が自分一人のものであると思ってるようだから、それが気にくわないのさ。」
くるりとオレに背を向け、またハートの装置の脇にたった。
「お前の心はお前だけで構成されているか?」
だって、オレのじゃないか。
「本当にそうかね?」
男が謎のレバーをひいた。
大きなハートが分解され始める。
“心”がバラバラになる…!
やめろよ!
「見ろ、お前の心の構成要素だ。」
見ると、そこには、様々な色の小さなハートがたくさん浮かんでいた。
「これが知識で、これが常識、これが肉体的体験…これが本能…」
男が指差しながら言う。
「他は、お前に関わる人々のハートだ。」
は?何それ?
最初のコメントを投稿しよう!