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「まぁ仕方ないよね……。
よいしょっと」
にとりは溜息をつき、椅子から立ち上がるとその背中に大きなリュックサックを背負った。
「取り合えず、そこに案内してくれる?
実物を見てみたいから」
「ここです」
それから数分後、にとりと椛はその変な物があると言っていた洞窟の前にたどり着いていた。
「こんな所に洞窟があったんだね……」
妖怪の山の滝から少し外れた場所にあるこの洞窟はやや大きく、奥行きも決して深くはなさそうだ。
「私は前一度入ったのですけど、その時は何もなかったのでしばらく放置してたのですが、久しぶりに入ったらあのような物が……」
「……取り合えず行ってみよう」
そう言ってにとりは自ら開発した懐中電灯をつけて、先に洞窟の奥へと歩きだした。
「あっ、待って下さいよ!」
それを見て椛は手に灯籠を持ち、慌ててにとりの後を追った。
「一体どのくらい深いの?この洞窟」
追いついた椛を一瞥し、周りに注意しながらそんな事を聞く。
「浅いという訳ではないですが、見た目ほど凄く深くもないので、10分はかからないと思いますよ」
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