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近付くと、その人と絡まれている女の子の会話も聞こえてくる。
「ねえねえ、そこの綺麗で可愛すぎるお嬢さんっ。僕と一緒にぃ、学校抜け出さないっ?優しくするよっ」
「ちょ、何この人!やめて下さいっ!!離してっ!!気安く触んないでよ!」
「そんな照れずに。ほら、僕の胸に飛び込んだら世界が薔薇色に見えること間違い無しさぁ」
うわぁ、嫌がられてるのに・・・気付かないなんて・・・。
・・・・・・そうだ。あの女の子が絡まれているうちに、私もとっとと通り過ぎちゃおう。
あの子には申し訳ないけど、自分も安全な道を行きたい。
早歩きでその2人の横を通り過ぎようとした。
でも・・・
チラリと女の子と変質者を見ると、女の子・・・すごく可哀想。
・・・駄目だよね。人を囮にするなんて・・・。こんな美人な人だったら、真っ先に変なことされてしまいそう。
その点、私なら・・・大丈夫か。
「あ、あの・・・やめたらどうですか?い、嫌がってるじゃないですか」
自分に渇を入れ、美人な女の子と変質者に話しかけた。
変質者と女の子が一気にこっちを向く。2人の視線を一斉に浴び、ビクッと肩が上がった。
「じゃあ、キミが代わりになってくれるの?」
「ひぃっ!!」
グルグル眼鏡からは、どんな目か全く見当がつかないこの変質者に、頬を触られた。
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