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父の父、つまり我々の祖父にあたる人物が生業の漁師を喰い詰め、仕事を求めて一家で上京した。
貧乏人の子沢山とはよく言ったもので、父は七人兄弟の六番目だったそうだ。
祖父と祖母を含めて一家八人が六畳二間の安下宿で寝起きをしていたというのだから、雑多な時代だったとはいえ幼少のころは苦労もしたのだろう。
「はみだす」とは、食み出すと書く。食い扶持減らしに文字通り、父は中学を卒業して一家から食み出された。まぁ、地方から中学を卒業したばかりの子供が金の卵と呼ばれて集団就職した時代である。職を得るのはたやすかっただろう。
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