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「外見だけで人と成りを判断できるとは、大したものだな、佐伯」
…勿論嫌味だ。
外見だけでは解らないことは山ほど有るのだ。人と言うものは。
俺の周りにはその良い例が多い。
「うわ…もしかして会長さんのお気に入りなわけ…??…まぁ、オタク同士でお似合いかもだけどさぁ~…」
それでもからかうことを止めさせるには至らなかった様だ。
ニヤニヤと笑う佐伯。
俺は呆れて溜息を零すくらいだったが、…我慢出来なかったらしい。
「っ佐伯、貴様ぁ…っ!!」
「文っ!!」
「っ…!!」
文の腕を引っ張り、拘束する。
「っ放してくださいっ!!アイツ…っ!!」
「文」
「アイツは貴方を侮辱したんですよ…ッ!?何で怒らないんですか…っ!!」
「…文」
「…っ、何…ですか…」
落ち着きを見せはじめた文に、ゆっくりと、苦笑しながら言う。
「手が痛い。放してくれないか?」
文の手の爪は、俺の手に食い込んでいた。
無意識に、拘束されることに抵抗しようとしたのだろう。
「っ…!!すみません…っ!!」
「いや、気にするな」
焦って手を放してくれた。
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