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「佐伯君、会長を待たせないで下さい」
「うわっ!!ナナミちゃん!!居たなら言ってよ~!!今日も超可愛いねっ俺とイイコトしない?」
「…君は今日も最低ですね。早くそれ渡して帰って下さい」
「んー、それはそれで良いんだけどさー…」
名波と話していた佐伯がこちらを向く。
俺はチェーンを探しに立ったついでに書類に目を通していた。
応接スペースで紅茶を出したり片付けをしたりしていた名波や文、それに今扉から入って来た佐伯とは少々距離が有る。
故に、小声で話していた名波の声はあまり聞こえなかったのだが…
「ナナミちゃん、まだあんなのの親衛隊やってんの?もー辞めなよあんなオタク会長のパシリなんてさー」
正直者だ。
佐伯の発言に間違いは無い。
俺は間違っていないことにわざわざ反論するつもりは無い。
無いのだ。
だから―
「落ち着いて下さい先輩。…―名波、文、止めろ」
隣の先輩の発する気配が苛立ちを帯びて、佐伯の傍に居た名波と文は明らかに怒って拳を握り締めている。
名波はおいておいても、文が手を出すのはマズイ。
可愛いらしく見えても文は空手・柔道・合気道・剣道、その他諸々の武術を極めている。
武術の心得も無い一般人が本気でやり合ったら、暫くは学校に来れないだろう。
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