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少年、もといキリクは、セレスの鋭い眼光を向けられたにも関わらず、澄ました顔で此方を見つめ返した。
「流石にこの程度じゃあ、お前も動じないな……。流石は次期当主と言ったところか。そこはお前の祖父と同じで肝も据わっている。本当に虫酸が走る程に彼奴の血を引いた子供だな」
セレスがとどめだと言わんばかりに吐き捨てるように言うと、流石のキリクも落ち込んでいるのか、瞳が哀しげに揺らいだ。
「君のその目は、僕ではなく祖父に向けられたものなんだね……。でも、僕は祖父とは違うよ」
「!」
セレスはカッとしてキリクに掴み掛かると、そのままキリクをソファーに押し倒し、その上に馬乗りになった。
そして、殴ろうと拳を握り締め、振り下ろそうとしたが、寸での所で止める。
「ハハ……、彼奴と違うだって?違わないぞ、ナイト。お前は彼奴と同じだ。シルヴァに止められていなければ今すぐにでもお前を殺してやりたいよ」
セレスは、此方を真っ直ぐに見つめ返すキリクを見据え、不敵に微笑んだ。
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