Chapter Ⅱ

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制服は確か、クローゼットに入っているとシルヴァが言っていたのを思いだし、セレスは部屋を見渡した。 お目当てのクローゼットが見つかり、その扉を開けると、中には新品のブレザーとズボンが一式、引き出しにカッターシャツが数枚入っている。 セレスはそれに着替えると、キリクが待っているリビングへ戻った。 一方、朝食を食べる前に既に着替え終わっていたキリクは、エプロンを外してネクタイをするだけだった。 セレスがリビングへ戻る頃には、きちんと身なりを整えて部屋の入り口に立っていた。 「準備出来た?さ、行こうか」 無言で頷き、共に部屋を出ると、校舎に向かっている何人かの生徒がすれ違ったが、その全員が皆キリクを見た途端、逃げるように走り去っていった。 怪訝そうにしながらキリクの顔を見るも、キリクは首を振るだけで何も言わなかった。 コイツ、皆に嫌われているのだろうか。 そう思ったが、明らかにあの態度は、嫌われているというよりむしろ恐がっていると言った方がしっくりくる。 「なぁ、おい。お前……」 「あ、そういえば。君、あの人の受け持つクラスが特別クラスなのは知っているのかな?」 「あの人……?あぁ、グランツの事か。知っている訳ないだろう。僕は昨日来たばかりだぞ」  
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