Chapter Ⅱ

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「あの人のクラスは、属性をひとつ以上持っている生徒達で固められたクラスなんだよ。だから他のクラスからは特別クラスって呼ばれている」 特別クラスだと言っている割に、あまり嬉しそうではないキリク。 恐らく、半ば強制的に入らされたのだろう。なるほど、グランツを嫌っている理由が少し分かったような気がした。 しかし、まだ子供のくせに属性をふたつ持っているとはな。 イレギュラーだ。 昔だったら有り得ないだろう。 と、セレスが感心しているのも束の間、キリクが急に立ち止まったせいで、前につんのめりそうになった。 「おい、ナイト?」 突然の事で、多少驚きはしたものの、セレスは冷静にキリクを見つめる。 表情は、俯いているせいで見えない。 再度声を掛けようとしたその時、ようやくキリクは顔を上げた。 「あと、この廊下を真っ直ぐ進んで突き当たりを右に曲がるだけだよ……。僕は、ちょっと部屋に忘れ物したみたいなんだ。後は、あの人が教室まで案内してくれるから、戻るよ」 キリクはそう言って笑みを浮かべると、セレスが何か言う前に元来た道を引き返していった。  
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