Chapter Ⅱ

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キリクの走り去っていく後ろ姿を見送り、セレスは呆れ果てたと言わんばかりに盛大な溜め息を吐いた。 そして、ひとり教員室に向かうとノックも無しにドアを開いた。 「「…………」」 教員達が一斉に此方を振り返る。 その中にケイトの姿を見つけ、セレスは中に足を踏み入れると、軽く息を吸い込み、一気に言い放った。 「今日から編入してきました、セレス・ブルーライトです。グランツ先生は此方に居られますか?」 昨日やキリクの前とは打って変わって別人のような態度に、ケイトは目を見開いて困惑した。だが、直ぐに我に返ると、慌ててセレスの元へ走り寄る。 「よろしくお願いします……、グランツ先生」 そう言ってニッコリと笑ったセレスの表情は、誰が見ても分かる程の作り笑いであった。 「あ、あぁ……よろしく」 ケイトもそれに気付いていたが、何も言わなかった。 敬語さえ使えば、後はどうでも良かったらしい。 「今から教室に向かうが、忘れ物はないな?」 「まぁ、はい。一応……」 忘れ物、ねぇ。 教科書類が届くのは今日あたりだった筈。忘れるも何も、最初から持っていないのだから忘れようがない。 セレスは、冷たくケイトを一瞥すると、廊下を歩き出した。  
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