Chapter Ⅱ

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中に入ると、先程までざわついていたのが嘘のように静まり返る。 人数は、最初に予想した通りかなり少ない。自分を入れても20人弱と言ったところか。 ただひとり、皆から大分距離を置いて座っているキリクを除けば、別段他のクラスと然程違いはないだろう。 「今日からこのクラスに編入してきたセレス・ブルーライトです。宜しく」 ニコリともせずに、簡単な自己紹介を済ませるセレス。 皆は、ポカンとした表情でしばらく編入生を見つめていたが、やがて前後左右で口々に言い合い、騒がしくなった。 「ホントに同い年かよ」 「ちっちゃーい」 「絶対歳誤魔化してるよ。おかしいって」 「っつか、変な名前ー……」 失礼極まりない言語が飛び交う中、セレスは冷めた表情でケイトを一瞥した。 「僕は何処に座れば良いんですか?グランツ先生」 まるで棒読みのセレスに、ケイトは軽く咳払いをすると、空いている席を探した。 しかし探すまでもなく、キリクが座っている席の周りは空席だらけだった。 「随分と変わった席順ですね。好きな所に座っても構わないという事ですか?」  
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