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「…………」
キリクは、無言でケイトを見上げるだけで何も答えない。
「貴方の仕業なのは明白です。どうしてこのような事をしたのですか!」
ケイトがいくら怒鳴ろうが、キリクは素知らぬ顔で頬杖をついたまま微動だにしない。
しかし、あまりにも五月蝿かったのか、キリクは端末機を取り出して、何かを打ち込んだ。
此方からは何をしているのか見えないが、恐らく文字を打っているのだろう。
キリクは打ち終えた画面をケイトへ向けた。
『何を根拠に』
「貴方しか居ないでしょう!風の特殊魔法を使えるのは。違いますか?ロード・キリク」
その言葉に、またも端末機に文字を打ち込んでいくキリク。
今朝まで普通に言葉を発していた筈なのに、何故なんだ?
セレスが不思議そうに見る中、キリクは端末機の画面をケイトに突き付けた。
「なっ!?」
ケイトはその画面を見るなり顔を真っ青にして、セレスの方へ戻っていった。
「ブルーライト!お前の席は、あそこだ」
ケイトはキリクの隣を指差して、そう吐き捨てるように言うと、授業の用意を持って教室を出ていった。
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