Chapter Ⅱ

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何だったのか。 セレスは、ケイトが去っていった方向を暫く見つめていたが、やがて我に返ると、キリクの隣の空いている席に腰掛けた。 生徒達は、編入生に話し掛けたいのか、時々落ち着きなくセレスに目をやるが、何故かキリクを怖がってヒソヒソと隣通しで話している。 一体、キリクの何に怯える必要があるのか理解に苦しむが、それよりも気になったのが、キリクの様子。 今朝とはまるで違う雰囲気を纏うキリクに、セレスは多少なりとも驚いていた。 何かある。 でなければ、この状況が理解出来なかった。 「はぁ……」 思わず吐いてしまった溜め息を、キリクに見られ、しばらく目が合ったが、やがてキリクの方から視線を逸らした。 そして、カチカチという端末機を押す音が数回して、キリクは画面を皆に見えないように此方に差し出した。 『あの人に八つ当たりされちゃったね。ごめん、僕のせいだ』 「お前のせいという事は、やっぱり魔法を使ったのか?」 セレスは、辛うじてキリクが聞き取れる声量で口を開く。キリクは、驚いたような顔をすると、直ぐ様端末機を押した。 『まさか』  
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