Chapter Ⅱ

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キリクの顔を見る限り、嘘をついているようには見えないが、騙されるな。 間違ってもコイツは、ナイト家の子である。彼奴も、嘘が上手かった。ならば、孫のキリクがそれに秀でていてもおかしくはない。 セレスは、怪しいと言わんばかりにキリクを睨む。だが、キリクは困ったような顔をすると、再び画面を差し出した。 『本当だよ。僕は確かに風の特殊魔法を扱えるけれど、このクラスに風の属性を持つ者は、後3人居るんだよ』 「…………」 なるほど。 恐らく、ナイトと相部屋になった得体の知れない編入生と隣同士になりたくなかった奴等の仕業か。 「で?……お前は犯人が誰か分かっているんだろう?どの生徒だ?」 横目でチラリと視線を送ると、ナイトは端末機を押す手を止めて此方をジッと見つめていた。 「?」 キリクは、自分の口元に人差し指を持っていき、セレスに黙るよう指示を出すと急に立ち上がった。 バキンッ!! 突如、ある一人の生徒が座っていた机に大きな亀裂が入り、真っ二つに割れてしまったではないか。 セレスは、目を見開いてキリクを凝視した。  
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