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『僕は……────』
分かっていたとは思う。正体を知らないだけで。
不死者なんて、人間なら有り得ない事だ。
僕がヒトではないと分かっていながら、それでもシルヴァは僕を化物を見るような目で見なかった。
自分が、天界から堕とされた元天使だと。
何の罪かは分からないが、それが原因で天界を追放された事を、セレスは全てシルヴァに打ち明けた。
『…………』
そして、黙り込んだシルヴァを恐る恐る見つめると、セレスは驚いて目を見開いた。
笑った……?
シルヴァはほんの一瞬だけ、フッと穏やかな笑みを浮かべると、ただ一言“そうか”と言った。
『あ……、シルヴァ?』
また直ぐに元の仏頂面に戻ったが、シルヴァはセレスの頭にポンと軽く手を乗せる。
『お前が何であっても関係ない。お前は俺の部下だ』
今度こそ、セレスはシルヴァの言葉で涙が出た。
自然とボロボロと溢れ出してくる涙で視界が滲む。
『何故、泣く……?』
『……お前の、せいだ』
ずっと欲しかった。
信じられる誰かが。
シルヴァの言葉でようやくセレスは手に入れた。
もう僕は1人じゃない。
『……信じて、いいか……?』
『?』
『お願いだ。僕を……裏切らないでくれ』
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