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「全く……アナタといいキリクさんといい、最近のコドモは躾がなっていませんね。もっと歳上は敬うべきでは?」
やれやれと肩を竦めたハーヴェイをシルヴァは鼻で笑い飛ばし、首を横に振る。
「生憎じゃったな。儂もキリクも敬うべき相手は選ぶ」
* * *
『……検査?』
『あぁ、お前の血をちょっとばかし採らせてくれないか?』
いよいよ戦争も終わりに近付き、手の空いていたセレスがシフォンの事務仕事を手伝っていると、唐突にそう提案された。
『……何故?』
当然疑問に思う訳で、セレスが怪訝そうにすると、シフォンはニヤリと笑う。
『いくら殺しても死なない体ってのはどんな気分だ?ジン。なぁ、死にたいって思った事は?』
『…………』
何度も思った事はある。
死を体験する度に、このまま死ねたらと。
だが……、
『……試してみる価値、あると思わねぇか?もしかしたら、何らかの検査で確実に死ねるヒントが見つかるかもしれねぇだろ?』
『……今まで僕がそれを試した事がないとでも?今更そんな事をしても無意味だ』
そう、数百年の間に何度か試した事がある。
優秀な科学者でさえ、血液の細胞すら満足に死滅させられず、というか毒やら何やらで一度は死滅しても、再び再生してしまうというお粗末な結果となり、期待するのを止めたのだ。
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