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シフォンはそんなセレスを面白くないと言いたげに見つめ、眉を寄せる。
『血液くらい提供してくれてもいいだろ。結果がなんであれ。お前が最後に検査したのいつだよ?』
『……15年くらい前だ』
『おいおい、15年前って……どんだけ科学が進歩したと思ってんだ』
そこからはあまりにしつこい為、これでは仕事にならないと思い、セレスは妥協したつもりである条件を出した。
『僕の上官はシルヴァだ。彼奴の許可が下りたら血液を提供してやってもいい』
いつからだろう。
シフォンに対して不安を覚えたのは。最初から苦手意識はあったが、そこまで酷くはなかったというのに。
シフォンはセレスの条件を渋々呑むと、それ以上はその話題に触れる事はなかった。
その日部屋に戻ったセレスが今日の事をシルヴァに報告すると、シルヴァは疲れたように溜め息を吐いた。
『まぁ、彼奴は研究者でもあるからな。お前が珍しいだけだ。相手にするな』
『……あぁ』
本当にそれだけなんだろうか。
彼奴の目は嫌いだ。
まるで玩具を見つけた子供のような目が。
『俺から許可はしない。お前が提供してもいいと思うならすればいいし、嫌なら断れ』
シルヴァの言葉に頷き、セレスは一物の不安を抱えながらも、眠りについた。
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