Chapter ⅩⅨ

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あの赤ん坊は、試験管ベイビーだとシフォンは言った……。 つまり、体外で人工的に受精され羊水に似た水槽の中で、成長促進剤を投与され約10ヶ月間掛けて育った赤ん坊だと。 セレスは突然の事に動揺を露にした。 『吐き気がするぜ……。この研究室の責任者がな、捕えた敵兵から採取したサンプルで作った子供だ。人の命を弄びやがって……胸糞悪りぃ』 ガンッと壁を殴りつけ、シフォンはただジッと眠る赤ん坊を見つめた。 『おまけに、イタズラに遺伝子を操作されて欠陥品ときたもんだ。あの赤ん坊全員、何処かしら悪くて長くは生きられねんだとよ。ふざけてる』 『…………』 まさか、これを見せたくて僕を此処に連れてきたのか? セレスが困惑していると、シフォンはハッと我に返り、苦笑を浮かべた。 『おっと悪りぃ。別にこんなモノを見せたくてお前を此処に連れてきた訳じゃねぇから。オレの研究室は此方』 そう言ってシフォンに案内されたのは硝子張りの部屋のもう少し奥。 先程の部屋の3分の1くらいしかない部屋に通され、セレスは中を覗いた。 そこには、この間敵兵を捕えた時にシフォンが連れていた研究員2人と、此方に背を向けて椅子に座っている女の合計3人が居た。  
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