Chapter ⅩⅨ

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『あの敵兵の言葉を借りるなら彼奴等こそ人間の皮を被った悪魔だぜ……。無意味に命を作り出して用が済めば処分だからな。向こうと気が合う事なんてねぇし、お前の事も報告してねぇよ』 ハッと最後に鼻で笑うと、シフォンは再び持っていた書類に視線を落とした。 『この前品種改良した分は順調だな。エリザベス、温度管理は頼むぞ』 『任せて』 研究室に入ってものの数分足らずでシフォンと共にそこから出たセレスは、横を歩くシフォンをチラリと盗み見た。 先程の言葉は本心か? シフォンを直ぐに信用出来ないのは、先日からの自分を見る目が変わった事だ。 だが、人の命を実験台に使っている生体クローン研究室の責任者を目の敵にしているところを見ると、コイツはただ単に純粋なだけなのかもしれない。 暫く悩んだ末、セレスは軈て結論を出した。 『血液……提供してやってもいいぞ。少なくとも、今までの連中よりはまともそうだ。そこだけは認めてやる』 『てめぇ、オレが上官って事忘れてねぇか?ま、いいけどな』 シフォンはそう言って嬉しそうに笑った。 『後日、採血させてくれ』 『分かった』 そして、後にそれが大きな後悔を生む事になるなんてこの時のセレスには思いもしなかった。  
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