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『同意したのか?』
部屋に戻ったセレスが早速シルヴァに報告すると、シルヴァは意外そうな顔をする。
『話を聞いた限り、提供してもいいと思ったんだ』
『そうか』
シルヴァはそう言って相槌を打つと、それきり黙り込んでしまった。
もしかして怒っているのかと思ったが、何か考え事をしているのだと気付き、ソファーに寝転がる。
『…………』
成功するなんて端から期待などしていない。
ただ、シフォンが純粋に興味を持ち、研究したいと思っているから僕も協力しようと思っただけだ。
そう思っていただけなのだ。
なのに……────
◇
『悪いな。失敗した時の事を考えてお前の血液を多めに貰いてぇんだが。お前、体重何㎏だ?』
採血の為に腕を差し出すと、唐突にそう聞かれてセレスは言葉に詰まる。
そもそも体重なんて今まで気にした事など一度もなかった。
天界に居た頃は翼があったし、地上に来てからは兎に角人間より人間らしくする為に必死だったのだ。
『多分、お前よりはあるんじゃないか?』
自分とそう大差無い身長の割りに痩せているシフォンを見ながらセレスが適当に答えると、シフォンは苦笑した。
『倒れんなよ?』
どれだけ血液を採るつもりなのか、シフォンは輸血用の空パックを4つ程手にしていた。
恐らく1つ辺り200mlくらいは入るだろう。
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