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透明のチューブに自分の血液が通っていくのをセレスは無言で見つめていると、シフォンが毛布を掛けてくれた。
『血圧が物凄く下がってくんだけど大丈夫か?』
『僕自身は何ともないが』
シフォンと短い会話をしながら約800mlの血液を抜き終え、セレスはシフォンと別れ、部屋に戻ろうとした。
若干ふらついているせいで、今日はもう休んでいいと言われたからである。
普段なら帰る頃にはシルヴァと一緒に部屋に戻るのだが、生憎今日は早く終わりすぎて待っているのも辛いものがある。
セレスは久し振りに自分に宛がわれていた部屋に戻る事にした。
鍵を開けて部屋に入ると、やはり最初に感じたように誰かに監視されているような違和感があり、セレスは居心地悪そうにベッドに倒れ込む。
そしてハッとして直ぐにベッドから飛び起きた。
監視……?
『まさか……カメラか何かがあるのか?』
手当たり次第に目についた場所から探すと、意外にあっさりと小型の監視カメラが見つかった。
この分じゃ、部屋のあちこちにありそうだ。
セレスは見つけたカメラを粉々に破壊すると、適当に当たりをつけてカメラがあるであろう方向を睨み付けた。
『用があるならコソコソせずに直接来い』
『…………』
カメラの映像が全て砂嵐に変わったのを見て、ある人物はニヤリとほくそ笑む。
『面白い』
ボソリとそう呟き、その人物は部屋から出ていった。
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