Chapter ⅩⅨ

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敵の数、およそ数十万人。 対して此方の人数は他の隊も合わせてその上をいくが、万が一という事も有り得る。 止む事のない砲弾の嵐。 林の中に居た動物や鳥が一斉に逃げ出す音。 銃声。 悲鳴。 次々と倒れていく仲間を見捨て乗り込んでくる敵達。 『…………』 人間、死に物狂いになれば何とかなるものだな。 『どうする?シルヴァ』 『構わん。撃ち殺せ』 そして、何とかならないのが現実だ。 シルヴァの言葉で一斉に銃撃戦が開始された。 ほんの数分で鳴り響いていた銃声が止み、辺りは一瞬で真っ赤に染まった。 本当に一瞬で。 命は散る。 セレスは銃撃戦の間、眉一つ動かさなかったシルヴァを改めて大佐に向いていると感じた。 やるならやられるな。 徹底的に潰せ。 『感傷に浸っている暇はないぞ。死んだ者は戻ってこん!次に備えろ!』 この部隊の要はシルヴァだ。 シルヴァがこの部隊の心臓であり、脳だ。 そこが潰されたら、もう機能しない。終わりと言ってもいい。 恐らく今日でこの戦争は終わり、勝者と敗者が決まる。 負ける訳にはいかないのは向こうも同じだ。 『シルヴァ……死ぬなよ』 ボソリと呟いたセレスの言葉は、風に乗って消えた。  
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