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足場の悪い、道と呼ぶにはお粗末様すぎる林を駆け抜け、何とか視界の開けた所に出ると、セレスはあるものを目の当たりにして立ち止まる。
『何だ……これは?』
既に爆発が起きた後なのか、煙や熱は外気に晒されて治まっているが、臭いだけは残っている。
先程まで気付かなかったのは、自分が風向きとは逆に居たせいか。
『シルヴァに早くこの事を伝えないと……』
そこには味方と敵だと思われる死体が数体、無惨にもバラバラに吹っ飛んで存在していた。
そして、その中には黒ずんで炭のようになっているが恐らく子供だと思われる頭部らしきものが転がっている。
これは少年兵なんかじゃない。
これは……────
再び無線機が通信をキャッチしたのか、雑音が鳴り、先程の声が響く。
『ザザッ……応答しろ!此方ケヴィン隊!敵地の子供が爆弾を持っている!迂闊に近付くと爆発するぞ!!』
何て奴等だ。
勝つ為に手段を選ばないのは此方も同じだが、だからと言って自国の子供を犠牲にするなんて。
『シルヴァ!応答しろ!シルヴァ!』
此処なら無線機も通信可能の筈だ。
だが、いくら呼び掛けてもシルヴァの無線からの応答はない。
『嘘だろ……おい、シルヴァ!応答してくれ!!』
嫌な予感程よく当たる。
誰だ、そんな事を言った奴は。
『くそ!』
セレスは再びその場から走り出した。
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