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強引にも自国の子供を犠牲にしながら、劣勢を着実に優勢へと持っていく敵兵をこのまま野放しにして堪るか。
途中、何人かの敵兵と遭遇し、その都度やり過ごすとセレスはようやくシルヴァが居るであろう持ち場に辿り着く。
何故かそこに人の気配は感じられず、一瞬死んでいるのではと悪寒が走ったが、死体どころか人間自体もぬけの殻で少し安堵した。
もしかしたら敵兵に見つかりそうになって身を潜めたのかもしれない。
そう解釈し、セレスは再びシルヴァを探した。
まだこの近くに居る筈だと、淡い期待を抱いて……────
『大佐、無線機の調子はどうですか?』
『あぁ……駄目だな。さっき落として壊れたらしい』
先程、謎の爆発が自分の持ち場近くで発生し、シルヴァと傍に控えていた護衛数人が急いでその場を後にした時に落としてしまったのだ。
先程からノイズだらけで一向に繋がらない。
その時、ガサリと突然草むらが音を発て、シルヴァが素早く刀で薙ぎ払う。
『ヒッ……』
『!?』
視界が開けると、何故かそこにはこの戦場に相応しくない幼い子供が座り込んでいた。
『子供?何故こんな所に!?』
どう見ても逃げ遅れた訳ではなさそうだ。
何せ此処が戦場になっているのはもう何年も前の話だからだ。
一般人が入れる所ではない。
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