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案外、歩き回っていると直ぐにまた電波を受信し、今度はクリアに音声が聞こえた。
『誰か聞こえるか!?応答しろ!!』
『……此方、シルヴァ。どうした?』
向こうで息を呑む音がして、そして確認するようにセレスの声が再び聞こえる。
『……無事なのか?』
『今のところはな。向こうは派手に爆弾まで用意しているようだからな。現状は芳しくない』
遠くで砲弾とはまた違った破裂音が響いている。
地雷よりも威力のある爆弾が爆発する音のようにも聞こえる。
『いいか、シルヴァ。よく聞け。敵国の子供が居たら迂闊に近寄るな。そいつ等は爆弾を持っている危険がある。間違っても抱き上げたりするな』
セレスの言葉にシルヴァは目を見開くと、自分が歩いてきた方向に目を向ける。
ドォオオオオンッッッ!!!!
直後、耳の鼓膜が破れんばかりの爆発音が地響きと共に鳴り響いた。
◇
『シルヴァ!?おい!返事をしろ!シルヴァ!』
自分が居る場所の近くと無線機から同時に爆発音が響き、無線機からシルヴァの声が聞こえなくなった。
嘘だ……。
嘘だ────!!
『シルヴァ!!返事をしてくれ!!聞こえてるんだろう!?シルヴァ!!』
セレスは悲鳴に近い声を上げて賢明に無線機に呼び掛ける。
だが、いくら呼び掛けても無線機からは虚しくもノイズしか聞こえない。
セレスは駆け出した足が縺れそうになりながらも、それでも急いで目的の場所に向かった。
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