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『……負傷者で辛うじて動ける者は重傷者を離脱させろ!無事な者は俺と来い。このまま敵兵の根城を叩き潰す!』
セレスはシルヴァの言葉にカッとなって胸ぐらを掴み上げる。
『この期に及んでまだそんな事を!?離脱するのはお前の方だ!』
『黙れ!従えんなら貴様が離脱するか!?』
だが、シルヴァは胸ぐらを掴むセレスの手を振り払い、他の部下に目配せするとその先に進んだ。
『待て!シルヴァっ!』
自分の部下を死なせた責任を感じるのは当たり前だ。
だが、責任の取り方が敵の陣地に乗り込むという無謀な作戦に出る事なら話は別だ。
それはただの無駄死にだ。
『作戦ならある』
『!』
此方の考えを見抜くかのようにシルヴァは先程より落ち着いた声音でそう言った。
『俺を信じろ。もうこんな馬鹿げた戦争は終わりにしてやる』
そしてその夜、シルヴァの言葉通り、この戦争に終止符が打たれた。
この国の勝利を以て。
終わりは呆気ないものだった。
各地に散らばったと思われていた、爆弾を所持している敵国の子供は意外にも、敵の陣地に近い方に固まっていた。
そして、シルヴァ達はその子供達を保護し、何処から連れて来られたのか、敵兵の根城の割り出しに成功した。
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