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そこからは、こんなにも順調に事が進んでいいものかと思う程順調に進んだ。
敵兵の見張りを数人捕え、無線機から聞こえる情報を頼りに敵の頭が居ると思われる基地付近に子供達の体に取り付けられていた爆弾を設置。
そして夜が更ける頃、爆破のスイッチが押され、敵の基地は消し飛んだ。
大将を失った敵兵の残党達は狼狽え、直ぐに白旗を振る。
こうして長きに渡る戦争は終結した。
* * *
『おい、シルヴァ!テメェ、折角の式典だぞ。少しは笑ったらどうなんだよ?』
『…………』
終戦の勝利を祝う式典が開かれ、軍服の正装に身を包むシルヴァは写真を構えようとするシフォンに眉間に皺を寄せる。
こういう華やかな場所を好まない上に元々無愛想なシルヴァの顔は余計に仏頂面で、可笑しくてセレスは笑ってしまった。
『何が可笑しいんだ?……それにしてもバッサリいったな?ジン』
『は?あぁ、髪の事か?』
シフォンから急に話を振られ、セレスは髪に手を触れる。
人とは耳の形が違うせいで隠す為に伸ばしていた髪も今や短くなり、耳が露になっている。
もう隠す必要がなくなったのだ。
『他にどう思われようと、奇異の目で見られようと……、彼奴が……、シルヴァが認めてくれたからもういいんだ』
セレスはそう言ってフッと小さく笑った。
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