序章 夏休み

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やけに眩しい太陽が、海に反射して更に眩しい光になって地面に降り注ぐ真夏の空の下、病み上がりの章は少々バテていた。そんな章の視界の隅に、カメラを回しながら興奮している真が見える。 「…あぁ…ホントに暑い。駄目だ…もう死ぬ。」章が静かに目を閉じた次の瞬間、何処からともなく靴……否、サンダルが頭に飛んできた。 「…こら~!こんなに明るいのに寝るな~!」サンダルを飛ばしたのは、ここで現地集合なっていた昴の姉、瑠璃だった。 「…あぁ!瑠璃さん。どうぞ。」章が、瑠璃の為に荷物を横に追いやった。そして空間が開いたのを確認した瑠璃がその開いた場所に座り込んだ。 「…もう少ししたら皆来るから、着替えの用意をしておいた方がいいわよ。真君見たいに…」彼女が真のいる方向を指差した。そこには、素早く服を脱ぎ捨てて海パン姿になった真の姿があった。 「フッ…海に行くのに、これくらい出来なくてどうします。人間としては至極当然ですが…」頭に手を宛てて章を鼻で笑った真は、カメラを握って砂浜に走り出した。 「…クソッ…否定出来ん。」悔しがっている章の後ろに、数人の人影が現れた。それに気付いた章が後ろを振り向くと、そこには燕が集めたメンバーが並んでいた。 「ヤッホ!アキちゃん待った?」燕の水着は、オーソドックスな白の水着だった。形も代わり映えが無いノーマルな形だった。しかし、服は着る人を選ぶとは良く言ったものだ。燕に良く似合っている。それこそ、カメラを持って走り回っていた真が引き返す程だった。 「……ちょっと、何ジロジロ見てんのよ!」空の水着は、子供用のフリフリの着いた水着だった。しかし、姉妹揃って幼児体型な為、寧ろこちらの方が良く似合っている。 「…アキ先輩…」トロンとした目で章を見ている海の水着は、用意し忘れていたのか学校の水着…所謂(スク水)だった。しかし本人は恥ずかしい様で、空の後ろに隠れる様にしていた。 「ゴメン!遅れてた。」最後に昴の水着だが、彼女は泳ぐ気が無いのかTシャツを水着の上に着ていた。そのため、彼女の水着は確かめる事が出来なかった。とりあえず、自分も着替えて来ようと思った章は、燕達に軽く挨拶をした後、荷物を纏めて更衣室へ向かった。……勿論男子の…。
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