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「いつまで生きれるか分からない君に良い事を教えてあげよう」
「なに、変な人?」
「ほれ」
金網の間からある物を少女の手の上に落とす。
「カフェオレ?」
「短いにしろ長いにしろ人生には素晴らしいことがある」
「待って、それがどうやったらカフェオレに繋がるの?」
「そんなの決まっている、他人の金で飲む飲み物は美味い」
少女は笑った。
「その通りね」
金網をよじ登り少女の隣に降り立つ。
「おぉ、また一つ素晴らしい事を知ったぞ、元飛び降り志願者」
「それは何? 変な人」
「金網の無い景色は金網がある景色より数倍、綺麗だ」
広がる景色は真っ青な空、そして同じく真っ青な海。それを見て元飛び降り志願者は言う。
「本当ね、地面ばかり見てたから気付かなかったわ」
昼休み終了のチャイムがなる、だけれど僕らは、それを無視して晴天の青空の元、いつまで生きれるか分からない美しい世界の景色を黙って見つめていた。
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