4月8日

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「3日前のことです。父宛てに電話がかかってきました。 と言っても、固定電話ではなく、携帯電話の方ですが。 私は父と2人暮らしで。家はこぢんまりとした普通の家です。 私も携帯電話は持っていますが、ほとんどメールのやり取りだけで。」 取り乱した依頼人はよくあることだが、話があちこちにいってしまい、収集がつかない。 拓真は落ち着いて。とお茶を勧めた。 依頼人―名前を相田実花と言った―は落ち着いてから、3日前のことを続けた。 「夕食の時間になったので、父の部屋に声をかけました。すると、中から父とは思えない、動揺した声が聞こえてきました。 もちろん、何かあれば動揺はするでしょうが、夕食の時間だから呼びに行って動揺することはないですよね。 それで、部屋のドアを開けたら、携帯電話で誰かと話しているところでした。 父は、ちょうど会話が終わったところなのか、携帯電話を背広のポケットに仕舞うと、慌てた様子で、ちょっと出てくる。と外へ。 遅くなるかもしれないから先に寝ていてくれと言われて、どこに行くのか尋ねようとしたのですが、答えている間も惜しいのか、出て行ってしまいました…。」 「それから家に帰って来ない、と?」拓真の問いかけに、実花は頷く。 「こんなこと初めてなんです。どうか、探して下さい。お願いします。」 「わかりました。もう少し詳しい話を。」 女性には弱い拓真。これが、大学生といううら若き美人ならば、余計に奮起しないわけがない。 安心させるように、力強く頷いた。
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