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「ここでひとまず、確認しておきます。
貴方のお父さんは、失踪されて3日目。
失踪された当日に、お父さんの携帯電話に誰からか、電話があった。
慌てた様子で夕飯時に出て行き、帰りは遅くなるかもしれないから、先に寝ていてくれと言った。
ここまではあっていますね?」
拓真の問いかけに、実花は頷く。
「では、次に。
お父さんは、何を持って行かれましたか?」
「え?手ぶらでしたが…。」
バッグなどは持って行かなかったと、首を振る。
「いえ、それはないですよ。
少なくとも、背広のポケットに携帯電話を入れている。つまり、一つは持って行った…。」
「…ああ。そういうことでしたら、ハンカチとティッシュは、持って行きました。
これは、仕事に着て行った背広姿のままでしたから…。それと、財布。
他は持って行かなかったです。」
「なるほど。」
拓真の後ろに控えている優子が、メモを取る音が聞こえている。
煙たいけれど、事務員兼助手としては、優秀だから辞めさせるわけにはいかない。
その辺は、拓真もわきまえていた。
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