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「続けます。
お父さんは、仕事から帰って来たままの姿だった。」
「はい。父は、普通のサラリーマンです。会社も普通のところで。」
実花が言った会社名は、中堅会社の名前だった。
「では、電話は帰って来てすぐにかかってきたわけですね?」
「…え?あ、そっか。帰って来たら、すぐに着替える父が背広のままだったのだから…。
はい、そうです。帰って来てすぐ、です。」
「では、お父さんはいつも何時頃お帰りに?」
「6時です。ただ…。」
「ただ?」
「金曜日は、仕事帰りに、お酒を飲んで来ます。」
「毎週金曜日?」
「母が亡くなる前は、そうでしたけど。今は、隔週ですね。
先週飲んで来ましたから、次は、来週の予定です。」
「なるほど。ちなみに、どこで誰と飲んでいるか知っていますか?」
「どこか、は知らないですが。
前に、中山さんの名前が出てきたので、中山さんとは飲んでいると…。」
「その中山さんとは?」
「父の会社の人です。」
「会社の方…。貴方自身もお知り合い?」
「はい。2・3度お会いしたことが…。」
「では、写真などは?」
「家に帰って見てみれば、もしかしたら…あるかもしれないです。」
「では、拝見させてください。
それからお父さんの部屋も。」
「わかりました。」
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