記憶喪失

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「待ってくれ!」 声を張り上げ、バッとベットから起き上がる 辺りを見てみると先程とは変わらぬ病室にいた 鼻を刺すような消毒液の匂いがするこの部屋には誰もおらず、気が付けば身体中には嫌な汗をかいていて、ほんの少し、呼吸が少しだけ荒くなっていた 「寝てた……のか」 ゆっくりと呼吸を整えながらポツリと呟いた声は静かなこの部屋に紛れ消えてしまった ――さっきのは一体…… それから少し時が立ち、最初の男が帰ってきた、そして疲れている様子のヴィオを見て尋ねた 「おや?どうかしたんですか?」 「いや……何でもない」 「そう、ですかなら良いんですがねぇ、さて」 尋ねた事と裏腹に男はさほど興味がないといった態度で自分の話を切り出し始めた
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