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号泣する貴子を見て、彼は心底困っていた。まさか、自分の言動で彼女がこんなになるとは思わなかったのだ。もちろん、意図したものではなく、いつもどおりのつもりようだった。
そして、新たに改札から姿を現した、『公平』と言う男性。濃いグレーのスーツを着こなし、真っ直ぐな眉からは、知性と意思の強さを感じさせる。
「ってゆーか、馬鹿。なんで、泣かせてるんだよ?」
公平は学の頭をポカリと軽くたたいた。
二人とも貴子よりは身長はあるが、公平のほうが頭一つ程、学より高い。
「たぶん、僕のいけないんです。ごめんなさい、貴子さん」
学は貴子に深々と頭を下げた。
「まぁ、そんなワケだからさ。コイツのコト、許してやってくんない?」
公平は頭を下げている学の背に片腕ついて、貴子を見た。
主が主なら、従者も、だわ。この、公平さんって方、着こなしこそ、都会の方々に似ていらっしゃると思ったけど、中身はとんでもだったのだが。
「おい、学。……何やってんだ?」
「あっ、公平さん。……どうしましょう。助けてください」
『学』と言うのが、迎えに来た者の名前のようだった。
そして、新たに改札から姿を現した、『公平』と言う男性。濃いグレーのスーツを着こなし、真っ直ぐな眉からは、知性と意思の強さを感じさせる。
「ってゆーか、馬鹿。なんで、泣かせてるんだよ?」
公平は学の頭をポカリと軽くたたいた。
二人とも貴子よりは身長はあるが、公平のほうが頭一つ程、学より高い。
「たぶん、僕のいけないんです。ごめんなさい、貴子さん」
学は貴子に深々と頭を下げた。
「まぁ、そんなワケだからさ。コイツのコト、許してやってくんない?」
公平は頭を下げている学の背に片腕ついて、貴子を見た。
主が主なら、従者も、だわ。この、公平さんって方、着こなしこそ、都会の方々に似ていらっしゃると思ったけど、中身はとんでもないわ。
「まずは、貴方が謝るのが先ではなくって? 使用人のミスは、主人のミスでは?」
貴子は涙を拭って、できるだけ冷静に言った。少しでも、これから自分の夫になるべきであろう、公平と言う男性に向けて、自分が対等な立場であることを見せ付けるために。
二人は目を合わせると、公平が吹き出した。
「ちょ・ちょっと、失礼ですよ、公平さんっ」
……返す返すも失礼な男ね。何がおかしいって言うの。
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